2053中部飼料なぜゲップ抑制効果のある牛用飼料開発に注力するのか。
会社四季報2023年夏号の2053中部飼料株式会社の記事に、ゲップ抑制効果のある牛用飼料開発に注力、とあり、気になった。
とにかくゲップ抑制という目を引くワードにやられた。
牛用とあるからに牛のゲップ抑制のための飼料だと思うが、ゲップを抑制することがなんだというのだろうか。
というか、サラリーマンとして家とオフィスの行き来を繰り返している日常なので、飼料という言葉すら聞きなれない。なのとりあえずHPで企業の人となりやその内容を確認することにする。
参照した企業のHPはこちら→中部飼料株式会社
ここから自身の理解のために情報を抜粋。
中部飼料株式会社は1949年に愛知県半田市で設立。日本プロ野球で2リーグ制設立の年らしい。また、有名人では武田鉄矢氏、矢沢永吉氏の生まれ年のようだ。
事業内容は鶏・豚・牛・魚の食料である飼料の企画・製造・販売。また、自社の飼料を活用した畜水産物の企画・販売。米や野菜、果物等向けの有機入り配合肥料の企画製造・販売などもしている。子会社では畜産家向けの畜糞発酵処理機や保険の取り扱いもする。
私が普段何気なく食べているもののスタート地点を創っている、基盤を創っている企業という印象。
それではどのような飼料をつくっているのか。
養牛用飼料でいうと、トウモロコシ、マイロ、大麦などをフレーク化した穀類やパイナップル粕等の自社開発原料をベースとした、肥育タイプに応じた飼料を作っている。
...横道にそれるが、マイロとはなんぞや??
JA東日本くみあい飼料株式会社のHP(原料 | JA東日本くみあい飼料株式会社)で各飼料原料について、効能とともに学べた。ここから、マイロ、ついでにトウモロコシ、さらについでに大麦について抜粋(掲載順序や語尾などは自身の理解のためにちょっと加工)。
マイロはトウモロコシに次ぐ重要な飼料穀物。とうもろこしと同様に粉砕・圧ぺんしたものが使用される。主要産地はアメリカ・オーストラリア・アルゼンチン。
トウモロコシはすべての家畜に対して優れた飼料原料。粉砕・圧ぺん等に加工したものが使用される。主要産地はアメリカ・アルゼンチン。
大麦は肉質改善効果があるといわれており、肉牛や肉豚の重要な原料。トウモロコシと比較してタンパク質、繊維含量が多く、可消化エネルギーが低め。粉砕・圧ぺん等に加工したものが使用される。主要産地はアメリカ・オーストラリア・カナダ。
大切な穀物と理解した。これらの飼料原料の他にもパプリカ抽出物やコーングルテンミールなどという飼料原料もあるようで、奥が深い。
そして、農産物におけるアメリカの存在感も垣間見た。
さらに横道にそれるが、飼料原料の説明に出てきた圧ぺんとはなんなのだろうか?聞いたことがない。とりあえず、かわいい名前だな、と思った。
飼料製造の手法のようで、有限会社小川精麦のHP(仕事紹介:製造部門①「圧ペン工場」)で飼料の製造工程とともに学べた。例のごとく、抜粋(語尾や文の繋がりは自身の理解のためちょっと加工している)。
飼料の原料として穀物を輸入し、港のサイロに保管する。トラックで引き取り、タンクに保管して加工の準備をする。タンクに保管した原料は加工の前にセパレーターで異物を取り除く。この処理工程を精選という。精選を終えた原料はクッカーで蒸気加熱後、ロール機でつぶしてフレーク状にする。この処理工程を圧ぺん加工という。圧ぺん加工で穀物をアルファー化(糊化)することで、消化率を上げることができる。圧ぺん加工後は乾燥冷却機で飼料の水分を調整して加工は終了。
同じHPで粉砕についても説明してくれている。圧ぺんと違い、「粉砕」ということば聞いたことがあるが、飼料製造工程の「粉砕」がどのようなものかせっかくなので学ぶ。
圧ぺんというかわいい響きと違い、力強い言葉「粉砕」。
仕事紹介:製造部門②「粉砕工場」から同様にちょっと加工して抜粋。
飼料の原料受け入れから精選までは圧ぺんの工程と一緒。精選の次に、粉砕加工をする。粉砕加工はひき割りにするロールミルと、ばん砕状にするハンマーミルの2つに大別される。ロールミル、ハンマーミルは加工機械であり、前者は原料を大きな粒から細かい粒に砕く機械、後者は粒度をより細かくする機械。
つまるところ、原料を細かくする製造工程のようだ。「粉砕」のイメージそのものだった。
横道にだいぶそれたが、中部飼料株式会社が発表している情報群から牛のげっぷ抑制に触れているものを探す。
2023年1月31日発表の「ポジティブ・インパクト・ファイナンス契約締結に関するお知らせ」という文書(https://www.chubushiryo.co.jp/news/pdf/2023.01.31_pif.pdf)で触れらていた。
株式会社三菱 UFJ 銀行(以下「三菱 UFJ 銀行」)と「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」に関する融資契約を締結した。「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」とは、国連環境計画・金融イニシアティブ(UNEPFI)が策定したポジティブ・インパクト金融原則、及び実施ガイドに基づき、企業活動が環境・社会・経済に及ぼすインパクト(ポジティブな影響とネガティブな影響)を包括的に分析・評価し、当該活動の継続的な支援を目的とした融資
とのこと。融資額は20億円、融資期間は5年間、資金使途は事業資金。
資料の表中、取組項目に「環境に配慮した飼料(「KDシリーズ」、飼料中のアミノ酸バランスを改善することで排泄される窒素の量を低減する飼料、牛のゲップを抑制する飼料等)の開発・拡販」とある。
見つけた!
しかし、げっぷを抑制してなんだというのか。まだまだ理解が足りない。
検索を続けると農研機構のガイドコミックなるものを見つけた。農研機構の畜産研究部門が作成しているものらしい。
本編第4話のタイトルが「牛のげっぷと地球温暖化」。知りたいことがもろにこれに載ってそう。
牛のゲップは二酸化炭素の25倍もの温室効果があるメタンが含まれる。家畜のメタンは全世界から放出される温室効果ガスの約4%を占める。
したがって、牛のゲップを抑制は温室効果ガスの排出抑制になる。
どうやって?牛が食べるもの工夫することでゲップに含まれるメタンの量を減らすことができる。牛が食べるもの、つまり、飼料、となるようだ。
ガイドコミックの導入部のふりと全く同じ疑問の持ち方だったが、中部飼料株式会社がゲップ抑制効果のある牛用飼料開発に注力、する理由の理解ができた。